今月の主題 炎症性肺疾患へのアプローチ
診断のポイントと治療
その他の肺疾患
じん肺
斉藤 芳晃
1
1珪肺労災病院・検査科
pp.283-285
発行日 1988年2月10日
Published Date 1988/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221538
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じん肺症は「粉塵を吸入することによって肺に生じた線維増殖性変化を主体とする疾病」と定義される.線維化を引き起こすのは一般に無機粉塵であり,職業性に暴露される.粉塵の種類により珪肺(遊離珪酸),珪酸塩肺(シリカトーシス,石綿肺,タルク肺,カオリン肺),蝋石肺,珪藻土肺,炭坑夫じん肺(石炭粉塵),黒鉛肺,鉄肺,ベリリウム肺.アルミニウム肺などに分類される.暴露粉塵の組織反応の強さは,その結晶構造,濃度,暴露期間,粒子の大きさなどが関係し,散布性の粒状結節から塊状結節まで種々のじん肺結節を作る.
胸部X線はじん肺の程度により小陰影(粒状影および不整型陰影)や大陰影を示す(表).小陰影の散布状況により1型から3型に分類され,大陰影がみられるのが4型である.線維増殖性変化は離職後も年余に渡る経過で進展し,それにともない気腫性病変が加わり,さらに気道,肺感染が加わり,胸部X線所見はさらに修飾を受ける.すなわち付加記号で示した種々の陰影が雑多に入り交じってくる.以前に較べ,粉塵環境が改善されているため,急進じん肺のような早いものは減少しているが,粒状影とは異なる不整型陰影をよく見かけ,いわゆる肺線維症との鑑別が問題になる.
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