連載 活動の中から
じん肺,ビックリ
吉田 幸永
1
1京都府日吉町
pp.158-159
発行日 1981年2月10日
Published Date 1981/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662206349
- 有料閲覧
- 文献概要
7月○日
G地区のTさんから電話があった。「町の住民健診に引っかかり,精密検診の通知を受けたのですが親せきに不幸がありましたんで」「……? Dさん,昔マンガンの仕事したはらしませんでしたか?」「マンガン……行っていました」「え!,どこへ!」「T鉱業です」「ほんまに……!」日吉の元鉱山労働者の堀おこしに6年をかけ,特にG地区には1人の見落としもないと自負していた私,それに,ビックリもビックリ。「Dさん,今まで6回も検診をやったんでっせ!,それに」「だれも言いに来てくれやはらしまへんでした」"町のお知らせ板にものせ,有線放送でも放送し,区長さんにもお願いしてあるのに"と言うのも気の引ける落ちこぼしだ。
「一回工場保健会診療所へ診てもらいに行かはらしませんか」「……」「月水金の午前中に,一日も早よ行かはるほうがよいと思います」「……」「行かれる日がきまりましたら,私まで知らせて下さい。紹介状を書きますから……」と,一気にまくしたてたが何の反応もないDさん。どうしてDさんを落としてしまったんだろう……? 私たち三羽鳥(患者同盟支部長,副支部長,保健婦)の堀おこしも,大したことはなかったんだとつくづく思う。
Copyright © 1981, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.