Japanese
English
綜説
心周期による冠血流
Coronary Blood Flow in Cardiac Cycle
細野 清士
1
,
名越 秀樹
1
Kiyoshi Hosono
1
,
Hideki Nagoshi
1
1慶応義塾大学医学部内科
1Department of Internal Medicine, Keio University
pp.929-936
発行日 1967年11月15日
Published Date 1967/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201836
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はじめに
冠血管系の血行動態は,その所属する臓器である心臓の周期的な動態に依存するところが大きい。このことは,冠血管系の特徴となっていると同時に,一面において,冠血管系でみられる種々の現象の解析を困難にしている一因ともなっている。一般の大血管とは異なった血行動態を示すことに最初に着目したのは,Ström (1771)と思われるが,彼は誤ってこの特殊性が冠動脈の入口付近に半月弁が付着しているためであろうと考えてしまった。ともあれ,大腿動脈などで研究せられてきた一般の血管の血行動態は1)〜3),Windkesseltheorieを基本として,従来から考えられてきたように線型な物理現象として,演繹的な説明がなされ,公式化,あるいは数学モデルが工夫されていて,それが実際にあたっての利用面でもあまり無理がないのに反して,冠血管系の血行動態では,この血管系をとり囲んでいる心筋の動態の方が主役を演じ,そのために非線型の部分を多く含んで問題を複雑にしているといってよい。冠血管における解析のもう一つの障害は,測定方法にともなう困難さであって,冠血管系の研究の進歩の歴史は,その測定方法の進歩の歴史としてよい。したがって,以下,その沿革について触れることとする。
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