Japanese
English
綜説
肺,気道系の発育と老化—疾患との関連
Growth and aging of lung:special reference to pulmonary diseases
木田 厚瑞
1
Kozui Kida
1
1東京都老人医療センター呼吸器科
1Pulmonary Division, Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital
pp.352-360
発行日 1988年4月15日
Published Date 1988/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205229
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はじめに
新生児の肺の構造は,成人のそれとは著しく異なっている。これを他の臓器と比較してみると,例えば肝,腎,心臓では臓器の重量や容量は新生児と成人では大きく異なるが,基本となる解剖学的構築は同一である。ゆえに,これらの臓器では,新生児期の構造が成熟した段階のminiatureであるということができる。
ヒトをはじめマウス,ラットなど大多数の哺乳動物では,生下時には肺胞は認められないか,ごく少数にすぎず,生後1〜2週間(マウス,ラット)あるいは1〜2年間(ヒト)の比較的短期間に肺胞が形成され,成熟肺に近い形態を呈する。ヒトでは生下時には湿肺重量1g当たり3mlの空気を含むが,8歳ではこれが8mlとなる。生下時と成人を比較すると容積は25倍となるが,湿肺重量は10倍にすぎない1)。このように年齢とともに容積-重量の比率が大きく変化することは肺という臓器に特異的である。
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