Japanese
English
特集 加齢と肺
成長・加齢と肺の構造変化
Morphological Changes in Growth and Aging Lung
桂 秀樹
1
,
木田 厚瑞
1
Hideki Katsura
1
,
Kozui Kida
1
1東京都老人医療センター呼吸器科
1Pulmonary Division, Tokyo Metropolitan Geriatric Medical Center
pp.657-664
発行日 2002年7月15日
Published Date 2002/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902496
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はじめに
ガス交換が行われる肺の末梢組織は呼吸細気管支,肺胞道,肺胞嚢,肺胞から構成される.肺胞壁はわずか5〜8μmの厚さに過ぎないが,サーファクタント,肺胞上皮細胞,血管内皮細胞,間質細胞,細胞外マトリックスよりなる複雑な構造を有している.肺組織を構成する細胞は40種類以上に達し,これら細胞群の調和のとれた発生過程として肺は成長・発育期を経て成熟期,加齢期に至る.
このような肺の成長・発育過程において,肺の構造がどのように成立し,維持され,病変に至り,修復していくかは,呼吸器病学の中心的命題である.慢性閉塞性肺疾患をはじめとした呼吸器疾患の多くは老年期に頻度が高い.このことは,肺が外界に解放しているため,これに基づく肺の障害が蓄積していくということに加え,肺固有の加齢現象が関与している可能性が高い.このように疾患の発症過程を理解するうえでも,肺の成長・発育・加齢の過程を理解することは極めて重要である.
本稿では肺の成長・加齢に伴う変化を主に構造的変化の観点から概説したい.
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