Japanese
English
特集 心不全をめぐる新しい展開
強心薬
Positive inotropic agents in the treatment of congestive heart failure
堀 正二
1
,
玉井 淳
1
,
井上 通敏
1
Masatsugu Hori
1
,
Jun Tamai
1
,
Michitoshi Inoue
1
1大阪大学第一内科
1The 1st Department of Medicine, Osaka University, School of Medicine
pp.261-267
発行日 1987年3月15日
Published Date 1987/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205021
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はじめに
心不全は心筋不全による心拍出量低下と,それに対する代償機転に修飾された末梢循環不全からなる病態である。その治療薬には大き1)強心薬,2)利尿剤,3)血管拡張剤の3種類があるが,強心薬以外の2剤は,いずれも後者の循環不全に対する治療を目的としている。利尿剤は過剰な循環血液量の増加を抑制し,血管拡張剤は,末梢循環を改善すると共に心臓に対する過剰な前負荷および後負荷を軽減する。強心薬は,これらとは異なり心筋に直接作用し心筋不全(心ポンプ不全)の改善を目的とする薬剤であり,他の2剤と異なり原因に対する直接の治療薬であるが,不全心筋や残存する健常心筋に対する過剰な仕事を強制していることから必ずしも不全心筋に対する根本的な治療法とはいえないという批判もある1)。心不全治療に対する強心薬の役割を考えるとき,このことはたえず念頭におく必要があるが,心ポンプ不全の治療には不可欠の薬剤であり,その役割はきわめて大きい。本稿では,心不全治療薬として現在用いられている強心薬と最近登場してきた新しい強心薬の特色について概説し,望ましい強心薬のプロフィールについて考えてみたい。
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