Japanese
English
特集 心不全をめぐる新しい展開
心不全薬の効果判定法
The evaluation of clinical efficacy of drugs for cardiac failure
安田 寿一
1
,
西田 雅之
1
Hisakazu Yasuda
1
,
Masayuki Nishida
1
1北海道大学循環器内科
1Dept. of Cardiovascular Medicine, Hokkaido University, School of Medicine
pp.269-273
発行日 1987年3月15日
Published Date 1987/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205022
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はじめに
最近,心不全に対する末梢血管拡張療法やジギタリス以外の新しい強心薬の開発が盛んとなり,それらが従来からのジギタリスや利尿薬に加えて,あるいはそれらに代わりうる新しい治療薬として有用であるか否かに関心が寄せられてきた1)。しかし,新しい抗心不全薬を臨床評価し,有効であると認めるためには一定の判断基準が必要と思われるが,わが国を含めて諸外国においてもいまだそのようなものは作られていないようである。この点は開発の歴史の古い降圧薬や抗狭心症薬などと比べてはるかに遅れているわけであるが,その理由は問題がきわめてむずかしく複雑なためでもある。それというのもまず,心不全は高血圧,狭心症などと異なり病名ではない,種々の基礎疾患の上に成り立つ複雑な臨床症候群であることによる。
心不全をおこす基礎心疾患には虚血性心疾患,心臓弁膜症,高血圧性心疾患,拡張型心筋症,先天性心疾患や甲状腺機能亢進性心疾患などの内分泌・代謝異常に基づく二次性心筋疾患,肺性心,心筋炎,感染性心内膜炎,心外膜疾患などさまざまなものがある。
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