Japanese
English
特集 PTAの適応と限界
静脈系に対するPTA
Percutaneous transluminal angioplasty in venous systems
山田 龍作
1
,
辻 孝
1
,
佐藤 守男
1
Ryusaku Yamada
1
,
Ko Tsuji
1
,
Morio Sato
1
1和歌山県立医科大学放射線科
1Department of Radiology, Wakayama Medical College
pp.945-950
発行日 1986年9月15日
Published Date 1986/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204924
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はじめに
Dotter1),Grüntzig2)によって開発されたPTAの技術は近年めざましい発展を遂げつつあるが,血管カテーテルを用いたこの技術は,動脈系のみならず,静脈系にも応用することができる。とりわけ本法は肝部下大静脈閉塞症の治療手段として極めて優れた方法といえる。
本邦では,肝静脈の閉塞のみによるBudd-Chiarisyndromeはまれで,大部分の症例は肝部下大静脈の閉塞を伴っており,また欧米の症例に比して慢性の経過をとるのが特徴であるが,放置すると肝硬変,肝癌を高率に合併する予後不良の疾患である。X線学的に,肝部下大静脈閉塞症は,①膜様閉塞症,②区域閉塞症,に大別することができる。本疾患に対する外科的治療法として,直達手術,バイパス手術を含め,様々な術式が試みられているが,手術侵襲が大きく,術死する例も多く,必ずしも良好な成績とは言いがたい。一方,PTAの技術を応用すれば小さい侵襲で,経皮的カテーテル操作を行うことにより,膜様閉塞症のみならず,区域閉塞症に対しても容易に閉塞部を開通することができ,現在のところわれわれは重篤な合併症を経験していない。したがつて,PTAは本疾患に対する第一選択の治療法と言えるのではあるまいか。今回は,われわれが経験した肝部下大静脈閉塞症8例について,その治療手技,治療成績について述べてみたい。
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