Japanese
English
特集 PTAの適応と限界
PTCAの将来の展望
Expectation of PTCA
住吉 徹哉
1
,
平盛 勝彦
1
Tetsuya Sumiyoshi
1
,
Katsuhiko Hiramori
1
1国立循環器病センター内科心臓部門
1Department of Internal Medicine, Division of Cardiology, National Cardiovascular Center
pp.951-957
発行日 1986年9月15日
Published Date 1986/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204925
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はじめに
経皮的冠動脈形成術(PTCA)は,1977年にGrüntzigが初めて狭心症例に臨床応用し成功して以来,冠動脈の狭窄性病変に対する画期的な治療法として欧米を中心に急速に普及した。米国立心肺血液研究所(NHLBI)のPTCA登録症例数も増加の一途をたどり,1979年には6施設,205例であったのが,1984年の発表では105施設,3,079例になった1)。1984年の1年間に全米で施行されたPTCAの総数は,推定で85,000例に昇るともいわれる2)。米国心臓学会(AHA)年次大会において発表されたPTCA関連の演題数も1982年には24題であったのが,1985年10月には68題とほぼ3倍に増加し,近年,PTCAに対する関心が一段と高まっていることを物語っている。本邦においても1985年12月末までの集計3)で,PTCAを施行した施設は112に上り,このうち100例以上の症例を経験した施設は15を数えた。この集計によると施行症例数も累計5,670例に達し,その普及の速さには驚くべきものがある。器具の改良や技術の進歩に伴い成績も向上し4),適応となる対象も大幅に拡大されてきており,今後PTCAの有用性はますます高まっていくものと思われる。反面,当初適応とされなかった難度の高い症例に対して施行した場合の成功率の低さや危険性なども明らかにされつつあり,また追跡症例が増えるにつれ,再狭窄を生じる例が決して少なくないことが判明するなど,種々の問題点も論じられている。本稿では,現状におけるPTCAの問題点について言及すると共に,現在試みられつつある新しい手技も含めて,同法の今後の展望について述べてみたい。
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