Japanese
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特集 Budd-Chiari症候群をめぐって
Budd-Chiari症候群のPTA
Percutaneous transluminal angioplasty of Budd-Chiari syndrome
山田 龍作
1
Ryusaku Yamada
1
1和歌山県立医科大学放射線科
1Department of Radiology, Wakayma Medical College
pp.1191-1195
発行日 1989年11月15日
Published Date 1989/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205576
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Budd-Chiari症候群とは,本来肝静脈の狭窄・閉塞に続発する肝静脈圧上昇,門脈圧亢進や肝硬変などの病態をいう1)。またわが国におけるBudd-Chiari症候群はしばしば肝部下大静脈の閉塞症に伴われることが多く,このため肝静脈の狭窄・閉塞だけでなく下大静脈閉塞に伴う場合も,広義のBudd-Chiari症候群と呼ばれる2)。肝静脈の狭窄・閉塞および下大静脈閉塞の成因は一定ではなく,先天性,後天性のいずれの場合もあり得る。肝静脈閉塞や下大静脈閉塞により,肝内血液の静脈への還流が不良となり,その結果,肝後性肝硬変,肝癌への移行が問題となる3)。また下大静脈閉塞症では下半身の静脈還流遅延のため腹壁静脈怒張,下腿静脈血栓症などの合併症をみることになる。
下大静脈閉塞症に開通術を行う意義は,肝内静脈,下半身の静脈還流を改善し,上述の合併症の進行を阻止,改善することにある。筆者らは下大静脈閉塞に伴うBudd-Chiari症候群に対し,Grüntzigバルーンカテーテルを用いた経皮的下大静脈開通・拡張術を行っており,その手技・経験を中心に述べる4)。
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