Japanese
English
特集 肺気腫・肺線維症の病態発生メカニズム
特発性間質性肺炎(IIP)の成因
Pathogencsis of idiopathic interstitial pneumonia
本間 行彦
1
,
井上 幹朗
1
,
小笠原 英紀
1
,
棟方 充
1
,
谷村 一則
1
,
日下 大隆
1
,
川上 義和
1
,
佐々木 雄一
2
,
大崎 饒
2
,
雨宮 進
3
Yukihiko Homma
1
,
Mikio Inoue
1
,
Hideki Ogasawara
1
,
Mitsuru Munakata
1
,
Kazunori Tanimura
1
,
Hirotaka Kusaka
1
,
Yoshikazu Kawakami
1
,
Yuichi Sasaki
2
,
Yutaka Osaki
2
,
Susumu Amamiya
3
1北海道大学医学部第一内科
2岩見沢労災病院
3名古屋大学工学部原子核工学講座
1The First Department of Medicine, School of Medicine, Hokkaido University
2Iwamisawa Rousai Hospital
3The Department of Nuclear Engineering, School of Technology, Nagoya University
pp.709-720
発行日 1986年7月15日
Published Date 1986/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204893
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はじめに
特発性間質性肺炎(IIP)の原因は不明である。しかし,いくつかの吸入粉じん,たとえはアスベスト,アルミニウム,コバルト,タングステンなどはIIPに類似の肺病変をもたらすことが知られている1〜5)。
厚生省特定疾患「肺線維症」調査研究班の報告では,臨床的および病理学的に同班のIIPの診断基準を満たす176症例中,なんらかの有害物質吸入歴を有するものが63例(35.9%)認められた6)。Abrahamら(1981)7)はIIPの一型と考えられているdesquamative intersti—tial pneumonia (DIP)を詳細に検討し,39例中28例(72%)になんらかの粉じん吸入歴を認め,肺組織を分析電顕で検索した結果,25例中23例(92%)に無機粉じん粒子の沈着を証明した。また,職歴の明らかな7例では,粉じん環境に一致したけい酸,タルク,ヒュームなどの粒子が肺組織内に沈着していることを確認した。IIPの発病と粉じん吸入との関連を示唆する報告は他にも散見されるが8),このような観点からの検討はこれからの課題といえよう。
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