Japanese
English
Bedside Teaching
AC Bypassの長期予後
Long-term Prognosis after AC Bypass Surgery
渡部 幹夫
1
,
細田 泰之
1
Mikio Watanabe
1
,
Yasuyuki Hosoda
1
1順天堂大学医学部胸部外科
1Dept. of Thoracic Surgery School of Medicine, Juntendo University
pp.637-643
発行日 1986年6月15日
Published Date 1986/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204884
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虚血性心疾患の外科的治療は,1967年にCleveland ClinicにおいてFavaloroが患者自身のsaphenous vein(以下SV)を用いて冠状動脈血行再建手術を始めて以来,驚くべき発展をみた。はじめFavaloroはSVを用いて,冠状動脈の狭窄部を置換したのであるが,その後SVにて大動脈基部から冠状動脈狭窄末梢へとbypass路をつくる手術(Aorto-Coronary Bypass,以下AC Bypass)へと発展した。この手術によって,心筋虚血部は,手術直後より十分な血流を受け,狭心症の改善をみるために,広く内科医,心臓外科医に,そして社会的にも高い評価をもって受け入れられ現在に至っている。
しかし,この手術の対象となる虚血性心疾患は,冠状動脈硬化症という病理学的変化により発症しているものであり,AC Bypassがこの病態の進行にいかなる影響を及ぼすのかは不明である。したがってAC Bypassを受けた患者の長期予後は,心臓外科医にとっても内科医にとっても興味ある問題である。AC Bypassが行われるようになって20年を経過する現在では,この手術の長期予後を統計的に正確に検討すべく研究を続けてきたグループからの10年を越す予後調査の報告がされるようになった。虚血性心疾患の自然歴とわれわれのAC Bypass手術成績を比較し,また,内科治療と外科治療のran—domized trialの結果をも参考にしてAC Bypassの長期予後を心臓外科医の側から述べてみたい。
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