Japanese
English
特集 プロスタサイクリン
抗血栓
Role of prostacyclin in thromboresistance
久米 章司
1
,
東原 正明
2
,
田部 章
2
,
高畑 京也
3
Shoji Kume
1
,
Masaaki Higashihara
2
,
Akira Tanabe
2
,
Kyoya Takahata
3
1山梨医大検査部
2東京大第一内科
3東京大中央検査部
1Department of Laboratory Medicine, Yamanashi Medical College
2The First Department of Internal Medicine, Faculty of Medicine, University of Tokyo
3Department of Clinical Laboratory, Faculty of Medicine, University of Tokyo
pp.877-881
発行日 1985年7月15日
Published Date 1985/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204706
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血管によってアラキドン酸(arachidonic acid, AA)から強力な血管拡張作用と血小板凝集阻害作用を有する物質1)が生成され,この物質がprostaglandin I2(PGI2,prostacyclin)であることが証明2)された。PGI2は不安定ではあるが,血小板cAMPレベルを上昇させることによって強力な血小板凝集阻害作用3)を示す。PGI2の作用はthromboxane A2(TXA2)のそれとは正反対の効果を示し,血管内の動的平衡はTXA2生成とPGI2生成のバランスによって決定され,血栓性疾患の発症はこのバランスの乱れと深くかかわりあっているという仮説4)が立てられた。それ以降,種々の血栓性疾患におけるPGI2の動態,PGI2/TXA2のバランス等について多くの検討が行われ,またこれらの疾患に対するPGI2の臨床応用も試みられつつある。本稿ではこのPGI2の抗血栓作用について若干の概説を加えてみたいと思う。
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