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特集 プロスタサイクリン
プロスタサイクリンの生化学
Biochemistry of prostacyclin
小澤 高将
1
,
杉山 理
1
Takayuki Ozawa
1
,
Satoru Sugiyama
1
1名古屋大学医学部生化学教室
1Department of Biomedical Chemistry, Nagoya University, School of Medicine
pp.839-844
発行日 1985年7月15日
Published Date 1985/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204700
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われわれの生体調節機序は主に内分泌系,神経系,免疫系によって営まれていて,それらが相互に作用し合いながら,巧妙に生体のホメオスターシスの維持に寄与している。
最近,多彩な生理活性を示すプロスタグランジン(PG)と総称される化学構造上きわめて多岐にわたる一群の生理活性物質が注目を集めている。もともと平滑筋の収縮,弛緩に関与する局所ホルモンと考えられていたPGが,いつの日からか局所ホルモンの範疇を遙かに越えて独り歩きし始めたのは,Bergstrom, Samuelsson, Va—neら天才たちの血の滲む努力と卓越した才気の賜物であった。生体内で秒,分単位しか寿命のないトロンボキサン(TXA2)やプロスタサイクリン(PGI2)などのプロスタノイドが血管系で重要な役割をしていることが明らかにされ,さらにSRS-A(slow reacting substance ofanaphylaxis)の研究に端を発するロイコトリエン(LT)の発見に及んで,PG研究は新しい時代を迎えることになった。
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