今月の主題 狭心症とその周辺
冠循環の薬理
今井 昭一
1
Shoichi Imai
1
1新潟大学医学部・薬理学
pp.594-595
発行日 1982年4月10日
Published Date 1982/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217697
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心筋酸素消費の重要性
他の臓器の血流と同様,冠血流も(灌流圧)÷(血管抵抗)で規定される.そしてここでも血管抵抗の大小を決めるのはもちろん細動脈平滑筋の収縮弛緩であるが,冠循環では心筋酸素消費が細動脈平滑筋の収縮弛緩に大きな影響を与えるので,各種生理学的要因や薬物の冠循環に対する作用について考える場合には,それらの心筋酸素消費に対する作用について考慮する必要がある.
たとえば交感神経刺激やカテコールアミン投与により,冠血流量は著しく増加するが,これはほとんど心機能亢進による心筋酸素消費増大の結果である.冠血管にも血管拡張をつかさどるカテコールアミンのβ受容体は存在するけれども,それを介する血管拡張は酸素消費増大による血管拡張に圧倒されてしまって,通常の方法では検出することができない.
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