特集 カテコールアミン
洞不全モデルにおる自動不全の要因としての交感神経系支配低下の関与
小西 與承
1
,
由井 芳樹
1
,
玉村 年健
1
,
河合 忠一
1
1京都大学第3内科
pp.1127-1129
発行日 1984年11月15日
Published Date 1984/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204541
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洞不全モデルの作成
洞不全症候群は洞結節自動能低下と洞房ブロックを包括しているので,これを分析するには洞結節活動の検出は欠かせない。現在洞結節興奮の信頼性をもった記録が得られない以上,摘出した実験標本で洞不全類似のモデルを作って微小電極法を適用して研究することは有用であると考えた。種々の試みの後,洞結節の上大静脈寄りの辺縁部(以下,上洞結節upper SAN, U-SANとする)を分離すると,正常タイロード液表面灌流下で自動不全現象を高率に発生することを発見した1)。この異常現象は表1にまとめたが,(1)長い自動能回復時間(SRT)(図1)は正常対照とした中央部洞結節(middleSAN, M-SAN)標本では全く発生しない,(2)分界稜を発火させ得ない閾値下振動電位の頻発は洞活動の記録がないと洞房ブロックと誤認される,(3)低濃度のCa拮抗薬で容易に自動頻度低下〜静止にいたることは臨床例で洞不全があるとCa拮抗薬の副作用が出やすいことに符合する,など洞不全の1つのタイプのモデルと見ることが出来る。
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