特集 カテコールアミン
ノルエピネフリン遊離に対するアンジオテンシンIIの作用機序
古川 安之
1
,
千葉 茂俊
1
1信州大学薬理
pp.1131-1134
発行日 1984年11月15日
Published Date 1984/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204542
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アンジオテンシンII(AII)の血管に対する作用,アルドステロン分泌に関する作用とともに,AIIの交感神経系との相互作用についても近年知られてきた。AIIの交感神経系に及ぼす作用機序としては,交感神経終末からのノルエピネフリン(NE)遊離の促進1〜4),神経終末での神経性再取り込みの抑制5,6),あるいは効果器の反応性の亢進7)等が報告されている。
交感神経刺激による血管収縮反応がAIIによって増強されることは良く知られているが1,4),心臓交感神経刺激による心臓反応が増強されるか否かについては明らかでない。摘出心臓標本で交感神経刺激による灌流液中NE量がAIIによって増加することが報告されている2,3)。ところが心拍数あるいは心収縮力はAIIによって増強されなかった。他の報告では,摘出心臓で陽性変力作用8)あるいは陽性変時作用9)がAIIによって亢進された。麻酔犬の実験では,DesipramineによるNEの神経性再取り込みを抑制した後にのみAIIによる陽性変時作用の増強が認められた10)。そこで我々は,AIIの交感神経に対する作用が開胸麻酔犬の心拍数変化と心収縮力においても観察されるか,もし観察されるならその作用機序は何かを検討した。
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