綜説
Contractility
田宮 浩一
1
,
菅原 基晃
1
Kouichi Tamiya
1
,
Motoaki Sugawara
1
1東京女子医科大学附属日本心臓血圧研究所理論外科
1The Heart Institute of Japan, Tokyo Women's Medical College
pp.119-124
発行日 1984年2月15日
Published Date 1984/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204383
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
心臓の力学的研究の領域にcontractilityという言葉が登場するのは,Sarnoffら1)が心臓のFrank-Starlingの法則の再検討を行った論文からであろう。その後con—tractilityという概念は,心臓の負荷とは独立な心臓の収縮の状態を表わすために,実験医学や臨床医学の領域で広く用いられてきた。一般的に了解されているcontrac—tilityの変化とは,「心筋長の変化以外の原因で引き起こされた心筋収縮の強さの変化」のことであろう。ところが,最近の実験的研究の結果では,心筋のcontractilityは(少なくとも遊離心筋標本においては),心筋長に強く依存することが示唆されている2)。「心筋長に独立なcontractilityの指標」の存在が強く疑われている時期に,contractilityの概念の成立と変遷をたどってみるのも有意義であろう。
Copyright © 1984, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.