Japanese
English
Bedside Teaching
重症筋無力症—胸腺切除後の呼吸管理
Myasthenia gravis:Respiratory care after thymectomy
吉竹 毅
1
,
柳生 邦良
1
,
浅野 献一
1
Tsuyoshi Yoshitake
1
,
Kuniyoshi Yagyu
1
,
Kenichi Asano
1
1東京大学医学部胸部外科
1Dept. of Thoracic Surgery, Univ. of Tokyo
pp.1307-1311
発行日 1983年12月15日
Published Date 1983/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204357
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はじめに
重症筋無力症(MG)は運動を繰返すことにより眼筋,嚥下筋などの一部の筋力または全身の筋力が低下し,休息により一時的に回復する疾患で,臨床的に眼瞼下垂,複視,構音障害,嚥下困難,運動障害,呼吸困難などの症状を示す。神経—筋接合部伝達異常に基づく症状であるが,抗コリンエステラーゼ剤(抗Ch.E)により一時的に回復する特徴を有する。現在では終末筋板のアセチにコリン受容体異常をきたす自己免疫疾患とされている1)。その発生原因については現在なお不明の域を出ない。年少例にも稀に発症するが,多くは成人型で20〜30歳代は女性に,壮年層では男性の発症例が多い。MG症例には胸腺肥大を合併する例が多く,10%程度に胸腺腫を併発する2)。したがって,胸腺との関連が古くより論じられているが,その因果関係は今なお詳らかでない,胸腺は免疫因子の生産臓器である。その外科的処置効果として,1939年Blalockら3)が胸腺腫摘除を行ないMGの改善をみたことから,以後,MGに対する外科療法として胸腺摘除術が行なわれ多くの報告がみられるが,その改善効果は今なお経験的域を出ず,近年の免疫学的研究に合せ,論議を呼ぶ治療法である。ここでは外科療法と共に主としてその術後呼吸管理について述べてみたいと考える。
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