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はじめに
myasthenia gravisは神経終末におけるacetylcholineの合成,あるいは貯蔵の障害による横紋筋の易疲労性を主徴とする疾患であるが,胸腺との関係については,古くは胸腺腫瘍に合併した本症が注目された1,2).一方Sloan(1943)はmyasthenia gravisの胸腺には多数のリンパ濾胞が見られることを指摘し,Castlemanet al.(1949)はmyasthenia gravis with thymoma10例中7例に非腫瘍性の残存胸腺組織を認め,そのうち6例にgerminal centerを認め,またmyastheniagravis without thymomaの25例中19例にgerminalcenterを認めた.その頃からInyasthenia gravisに対する胸腺摘出の有効性が指摘され多数例についての検討がなされた5,6).本症の発生機序に関してGoldstein(1966)は自己免疫性胸腺炎の概念を提唱した.即ち本症の胸腺に見られるlymphoid germinal centerの出現,胸腺髄質のリンパ球並びに形質細胞浸潤などの所見は胸腺髄質における自己免疫反応の結果であると考え,その自己免疫性胸腺炎がmyasthenia gravisに特有な神経筋遮断作用をもつ体液性の物質を遊離させると論じた.実験的裏付けも試みられた8,9).さらにmyastheniagravisに対する胸腺摘出手術が次第に普及するにつれてその病理組織学的検索も盛んになり,germinal centerに関する報告,特にその出現頻度が高率であるとの報告が増して来た(第1表).われわれがこれまで取り扱つた全症例についてre. trospectiveにその組織像を再検討し,germinal centerの出現の有無と術前の放射線照射の関係を検討し,myasthenia gravisの病因解明への一つのアプローチとして意義があると考えられるので報告する.
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