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特集 ARDSの発生・進行要因
ARDSの発生・進行の機序と体液の反応
ARDS:Chemical-humoral factors in its initiating and promoting process
諏訪 邦夫
1
Kunio Suwa
1
1東京大学医学部麻酔学教室
1Dept, of Anesthesiology, Univ. of Tokyo
pp.931-937
発行日 1983年9月15日
Published Date 1983/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204290
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ARDSの語が生れ,その治療が確立したのは1960年代のおわりごろ1)であるが,治療の始った1950年代から1970年代半ばまで,その主病像は「肺間質浮腫」として片づけられてきた3,29)。呼吸管理法の標準的な教科書でもそのようにあつかわれてきたし,筆者自身もその著書で同様に記述している41)。
そもそもARDSは「多彩な原因でおこる,一様な肺の変化」とされている(図1a)が故に,我々はその「原因」に重きをおく傾向があったといえよう。感染患者をあつかう医師は「endotoxinによる肺の損傷」と考え,外傷をあつかう医師は「肺の打撲傷と出血と輸血が原因」と考え4),心臓外科医は「体外循環と術後の低心拍出量が原因」と考えるという具合である38)。極端な場合「ARDSに人工呼吸をする」のでなく,「人工呼吸をするからARDSがおこる」という議論さえあったのである。こうした中で断片的にではあるが,酸素による障害の強調26),ステロイドの効果など,現在の知見への萠芽がみられる。
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