巻頭言
脈管作動物質の作用効果
上羽 康之
1
1神戸大学医療技術短期大学部
pp.1189
発行日 1982年12月15日
Published Date 1982/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204124
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生体の血圧調節機構に関与する神経・体液性因子は,きわめて多くの複雑な要因により制御されている。大脳皮質,視床下部さらに延髄の血管運動中枢による神経性調節においては,血管運動神経は血管に対し収縮性と拡張性に作用する。交感神経興奮による,α受容体刺激により収縮的に,β受容体にて拡張的に作用するが,副交感神経興奮にては,消化腺,外陰部にて拡張的に作動する。その他,後根内にアトロピンにより遮断されない拡張線維の含まれることが知られている。
このような神経性調節は,大動脈,頸動脈,心臓壁,中心静脈,肺血管などに存在する伸張・化学受容器により,反射性の血圧調節が行われる。通常,頸動脈洞および大動脈弓の受容器より,高圧系の求心性インパルスの低下により血管運動中枢の抑制効果の減少による交感神経活動の亢進が生じ,逆の場合には交感神経活動の低下による降圧と,迷走神経興奮による徐脈が生じる。
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