呼と循ゼミナール
血管作動物質と肺シャント率
岡田 和夫
1
1帝京大学麻酔科
pp.1074
発行日 1977年12月15日
Published Date 1977/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203131
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ショック時に昇圧剤,血管作動物質が投与されるが,α—刺激作用,β—刺激作用を選択的に備えているといわれる薬剤でも,体内の血管ですべて均等に収縮,拡張が起るとは限らないことがmicrosphere法による研究で明らかになった1)。例えばβ—刺激剤のisoproterenolは心拍出量増加と末梢血管の拡張とを同時に起すが,心拍出量の増加した度合よりも血管拡張の度合が強くなる臓器があると体内の血流配分が変ってくる。これで皮膚,筋肉,心筋の血流分布率は増すが,腎,脳は心拍出量の増した程度かまたはそれ以下の増えしかない。また心拍出量の体内分布に対してCO2には末梢作用と間接作用があり,CO2が増加すると末梢血管を直接に拡張させるが,交感神経を介しての中枢反射による間接作用としては収縮させるように働いている。しかしこの相反する拮抗作用の強弱により血管拡張となり心拍出量の増加以上に血流増加を来す脳,心筋などと,血管収縮の影響が強くて血流増加がさほどでない筋肉,腎などとに別れる。
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