Japanese
English
綜説
血管作動性物質
Vasotropic Factors
島本 暉朗
1
,
戸田 昇
1
Kiro Shimamoto
1
,
Noboru Toda
1
1京都大学医学部薬理
1Department of Pharmacology, Faculty of Medicine, Kyoto University
pp.285-294
発行日 1967年4月15日
Published Date 1967/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201759
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はじめに
血管作動性生体物質の生体内における分布様相,活性化過程および生体循環系機能貢献機転は,生理学ならびに薬理学的興味の中心であり,他方多くの血管作働性生体物質ないし合成物質が,高血圧,狭心症ならびにshockなどの治療に不動の基盤を築いている。これら諸物質の薬理作用は,実験動物の種類,年齢,自律神経緊張度,臓器組織の種類,血管の大小,動,静脈および毛細血管,薬物の投与法,ならびに反応の測定方法(とくに,摘出か,生体位か)などによって複雑多岐な成績があげられている。
同一薬物であっても,血管抵抗上昇および下降の二相作用を示すものがある。ゆえに,ここでは血管作動性物質を便宜上,自律神経系に作用する薬物と,自律神経系に関連なく血管に直接作用する薬物とに分類し,個々について論述する。なお,薬物作用は可能なかぎり,静脈内投与(間接)による効果を,支配動脈内投与(直接)によるそれと比較した。
血管作動性物質の主な作用は,血管平滑筋またはその他の機構を,緊張または弛緩し,血管径を縮小または拡大して,血管抵抗を変動することである。血管抵抗の変化は血流の変化として,直接該臓器組織の機能に結びつく。図1に血管抵抗を決定づける種々の因子を示す。液性ないし固形成分の増減による血液の容積比(hematocrit値)変動は,血液の粘稠度を知る一尺度である。
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