臨時増刊特集 問題となるケースの治療のポイント
III.呼吸器疾患
呼吸管理にまつわる諸問題
60.気管支肺胞洗浄療法
北村 諭
1
Satoshi Kitamura
1
1東京大学医学部・第3内科
pp.2206-2207
発行日 1983年12月1日
Published Date 1983/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218601
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症例
38歳の男性で12年前よりBrittle typeの糖尿病で加療されていたが,1979年8月21日にhypoglycemic comaの状態で当科へ救急入院した.直ちに十分量のブドウ糖液を静注し,その後も点摘静注を続けた.2日後より経鼻的栄養補給を開始したが,嘔吐をし,その後38℃の発熱がみられた.
8月24日の胸部X線写真(ポータブル)で右下葉に肺炎像が認められ(図1),8月23日に気管支ファイバースコピーを施行した.気管支粘膜の発赤腫脹が著明で少量の食物残渣を認めたため吸引性肺炎と診断し,直ちに約300mlの生理食塩水で右B6,B7,B8,B9,B10の各区域支を洗浄し,硫酸ゲンタマイシン(ゲンタシン®)40mgを注入した.図2は5日後の胸部X線写真で右下肺野の肺炎像は著明に改善した.本症例はその後意識状態も改善し軽快退院した.
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