呼と循ゼミナール
心断層エコー法による僧帽弁狭窄症の弁口面積の評価
小川 聡
1
1慶応大学呼吸循環内科
pp.522-523
発行日 1980年5月15日
Published Date 1980/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203569
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僧帽弁狭窄症(MS)の心エコー図上の特徴は,僧帽弁前尖の拡張期後退速度(DDR)の低下,弁の肥厚,a波の消失,後尖の拡張期前方運動等である(図1)。弁エコーの輝度の強さから石灰化の有無を,また拡張早期の振幅から弁の可動性を判定することもある程度可能である。中でもDDRの低下はMSの診断のみならず,その重症度の判定にも用いられてきた1)。しかし最近のKotlerらの集計では,重症MS 210例中DDRが15mm/秒以下の例は僅か127例(sensitivity 60.5%)で,またDDR 15 mm/秒以下の170例中重症MSは120例(specificity 75%)のみであったことから,DDRはMSの重症度の指標としては信頼性に乏しいと結論されている2,3)。
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