疾患と検査値の推移
大動脈弁狭窄症の血流速と弁口面積
阿部 幸雄
1
1大阪市立総合医療センター循環器内科
pp.31-37
発行日 2013年1月1日
Published Date 2013/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103812
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はじめに
大動脈弁狭窄症(aortic stenosis,AS)の主な成因には,加齢性および二尖弁,リウマチ性がある.現代では,加齢性で石灰化が進行する型のASが最も多く,高齢化社会の進行に伴って患者数が増加し続けている.したがって,ASの診断および治療は今後の循環器疾患診療において,さらに大きな比率を占める重要なものになっていくと推測される.
さて,AS患者の死亡リスクは,症状のない間は非常に低いにもかかわらず,ひとたび狭心痛や失神,めまい,心不全を発症すると急速に高くなり(図1),突然死をきたすことが少なくないと以前から報告されていた1).この事実は,高度ASに症状を伴えば大動脈弁置換術(aortic valve replacement,AVR)の絶対適応とする根拠になっている.ASの手術適応に関するガイドラインを図2に示した2).ASが高度であるかどうか,および,症状があるかどうか,の2点が手術適応決定において最も重要である.ASが高度であるかどうかを診断するのは,心エコー図検査の役割である.一方,症状はあくまで自覚的な所見であるので,正確には評価しにくい.また,高度AS例では無症状でも突然死をきたす場合があることが報告されており,症状の有無のみを金科玉条としてはいけない.
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