巻頭言
最近見た興味あるME機器の1例
伊藤 寛志
1
1杏林大学医学部生理学第2講座
pp.967
発行日 1977年11月15日
Published Date 1977/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203118
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Kay博士はニュージーランド,カンタベリー大学工学部教授である。彼は大戦中から潜水艦のソナーなどを研究している超音波装置の有名な研究者であるから,御存知の方も多いと思う。最近は盲人用超音波メガネなどでジャーナリズムにもとりあげられている。人間的にもすばらしい方だが,彼の発明になる数々の装置もME機器として仲々魅力のあるものが多い。6月中旬,数年ぶりに彼を東京に迎え,持参した超音波心弁膜疾患鑑別診断装置(仮称)を拝見する機会を得た。
この装置は小型テープレコーダーくらいの大きさで,中に超音波発振装置,エコー受信装置,電池などが内蔵されている。この発射超音波はノコギリ波(周波数は不明)により周波数変調されている。発射超音波と受信エコーの周波数差Δfは,被検対象物と振動子との距離により変化するから,これを可聴音に変調すれば,対象物との距離を出力音周波数(ピッチ)の相違として検出することができる。また対象物が動けば,これに伴なってピッチが変る。対象物が壁のような単純な面であれば,出力はほぼ純音となる。しかし反射面が凹凸のある複雑な構造ならば,それを反映して複雑な音色を呈する。
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