Japanese
English
綜説
血管平滑筋の膜性質と収縮
Excitation and Contraction in Vascular Smooth Muscles
栗山 熙
1
,
伊東 祐之
1
,
鈴木 光
1
Hirosi Kuriyama
1
,
Yushi Ito
1
,
Hikaru Suzuki
1
1九州大学医学部薬理学教室
1Dept. of Pharmacology, Faculty of Med., Kyushu Univ.
pp.968-974
発行日 1977年11月15日
Published Date 1977/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203119
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血管の生理機能における平滑筋の役割は,筋収縮と弛緩による血管の縮小および拡張現象,すなわち血圧調節の維持に関与することである1)〜5)。この調節機構は筋細胞自身の変化と共に神経,ホルモン,autacoidその他の化学的調節をもうけている。
他の平滑筋と同様に血管平滑筋の収縮を発生する機序には細胞内自由Ca++の増加が関係しウサギ肺動脈では10-7M以上の濃度に上昇すれば収縮を発生する(平田雅人,未発表)。この濃度は消化管平滑筋の例としてよく用いられる結腸紐(taenia coli)よりも1/5〜1/10低い濃度である6)。この自由Ca++を増加させる機構と部位については充分な知見が得られてはいないし,さらにCa++によって活性化される平滑筋の収縮蛋白の部位についても現在2つの仮説がある。すなわち,1つはmyosinのlight chainに存在するphosphokinaseを活性化するという機構である。これはKendrick-Jones達が軟体動物の筋(斜紋筋)の収縮機構はtropomyosinが存在するにもかかわらずmyosinのlight chainが活性化されるのが直接原因であると推測した7)。
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