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増大号 計測する項目と記録断面がわかる! 病態別・類似疾患別心エコー検査のルーティン
各論(心エコー類似所見別または病態別)
9章 先天性疾患
心室中隔欠損症(VSD)
Ventricular septal defect (VSD)
小谷 敦志
1
1近畿大学奈良病院臨床検査部
pp.533-540
発行日 2022年4月15日
Published Date 2022/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542202985
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基礎知識1〜4)
心室中隔欠損症(ventricular septal defect:VSD)は心室中隔に欠損孔を生じる先天性心疾患であり,欠損孔を通じた左右短路(シャント)疾患である.聴診では胸骨左縁第2〜4肋間に汎収縮期雑音を聴取し,スリルを触知することがある.出生1,000人当たり1.56〜53.2人に生じ,先天性心疾患の約30%を占め最も頻度が高い.膜様部欠損(後述)の約70%が自然閉鎖し,多くは乳児期のうちに閉鎖するが,両大血管直下(後述)は原則として自然閉鎖しない.欠損孔が大動動弁輪径と同等の大欠損あるいは大動脈弁輪径の約1/2の中欠損がある5).中欠損では体重増加不良,呼吸器症状のため乳幼児期に手術が行われる.大動脈弁輪径の1/3以下の小欠損は右室圧や肺動脈圧の上昇がなく,肺体血流比(Qp/Qs)<1.5(短絡量33%)では無症状に経過するのが一般的であるが,感染性心内膜炎,心不全,不整脈などの合併症や,長期にわたる左心室容量負荷が心機能低下を招く可能性に注視する.
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