Japanese
English
特集 心室中隔欠損症(VSD)
心室中隔欠損症(VSD)の治療
Treatment of ventricular septal defect
田村 時緒
1
Tokio Tamura
1
1天理よろづ相談所病院小児循環器科
1Tenri Hospital
pp.893-904
発行日 1977年10月15日
Published Date 1977/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203111
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
先天性心疾患の外科的治療が著しく進展し,残された領域として次第に手術対象が複雑心奇形の修復へとしぼられてきた今日,単純な病型で早期から根治手術が進められてきた心室中隔欠損症(VSDと略す)の外科治療は,大筋で"解決済"とも思われ,学会の話題からみても積極的関心は次第にうすれてきたようである。確かに大血管転位症や総肺静脈還流異常症の重症例が乳児期の早期手術に成功するようになってきた現在,純医学的進歩としては乳児期初期でも重症VSDの根治手術は十分可能であり,その意味では外科の立場ですでに解決された病型ともいえよう。ところで乳児期に比較的症例数の多い肺高血圧を伴うVSDの治療を実際の臨床の立場でとりあげ,より合理的な医療を追究することになると,とくに乳児期に"重症"といわれるVSDの治療についてその内科的治療や自然歴とのかねあいが大きな問題となり,根治手術の時期についての考えは現在でも施設によってかなりの相違がみられるようである1)〜6)。診療方針は各施設の立地条件や診療体制あるいは診療能力の相違でもある程度は異り,必ずしも画一化は要求されないが,少い負担で着実に患者へよりよい治療成果をもたらすことの最終目標に変りはなかろう。
Copyright © 1977, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.