Japanese
English
特集 心室中隔欠損症(VSD)
VSD+肺高血圧—特にEisenmenger化とその臨床像について
Ventricular septal defect with pulmonary hypertension, with special reference to Eisenmenger syndrome
門間 和夫
1
,
関口 守衛
2
Kazuo Momma
1
,
Morie Sekiguchi
2
1東京女子医科大学心臓血圧研究所小児科
2東京女子医科大学臓血圧研究所内科
1Dept. of Pediatric Cardiology, The Heart Institute of Japan, Tokyo Women's Medical College
2Dept. of Inter. Med., The Heart Institute of Japan, Tokyo Women's Medical College.
pp.881-888
発行日 1977年10月15日
Published Date 1977/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203108
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肺高血圧(PH)をともなう心室中隔欠損(VSD)の問題点は,患者の年齢により異なっている。乳児のVSD+PHにおける中心問題は自然死亡例とその対策であり,手術適応と手術手技が問題である1〜3)。VSDの自然死亡例はほぼ常にPHをともない,その大部分が乳児期特に生後1カ月ないし9ヵ月に生じる2)。これら乳児期の自然死亡例は心不全があり,更に喘鳴,呼吸困難,PCO2上昇,肺気腫,気管支閉塞,肺炎など肺合併症を併発して死亡している2)。最近では乳児期VSDの一期的根治手術が米国や日本などのいくつかの病院でほぼ安全に10%以下の死亡率で行なわれるようになり,心研でも乳児期VSD+PHの予後不良例の早期根治手術の方針をとりはじめてより,VSD+PHの乳児期死亡は数年前よりほとんどなくなっている1)。
幼児期以後のVSD+PHには肺血流量増加型(左—右短絡性)と肺血流量減少型(両側または右—左短絡性,即ちEisenmenger症候群)があり,前者は加齢とともに次第に肺血管閉塞性病変(PVO)を生じて後者に移行していくので,早期診断と早期手術が必要である。後者には手術適応はない。
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