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特集 心室中隔欠損症(VSD)
心室中隔欠損症(VSD)の自然歴
The Natural History of Ventricular Septal Defect
渋谷 実
1
Minoru Shibuya
1
1東京女子医科大学成人医学センター循環器内科
1The Center of Adult Diseases, Tokyo Women's Medical College
pp.889-891
発行日 1977年10月15日
Published Date 1977/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203109
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心室中隔欠損症(VSD)の自然歴は欠損孔の大きさと左室および右室の圧較差によって決められる。即ち普通の状態では,左室の圧力が右室の圧力よりも高く,心室中隔に欠損があると,肺血管抵抗が正常である場合には,左室から右室へ血液は短絡する。左室および右室の収縮期圧は体血管抵抗および肺血管抵抗によって決められる。もし心室中隔の欠損孔が小さければ,左室および右室の圧較差は大きいが短絡量は少ない。一方欠損孔が大きければ,左室および右室間の圧較差はなくなり,右室圧は左室圧に等しくなるかまたはそれに近づく。即ち肺血管の状態により,右室圧の上昇は心室中隔欠損による短絡量の増加,肺血流量の増加によるか,肺循環系の血管抵抗の上昇によるか,両者の合併による。このように一般的にはVSDの自然歴を決める重要な因子は左室および右室の圧比によると考えられる。
そこでVSDの自然歴をその血行動態を中心に考えてみたい。
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