Japanese
English
Bedside Teaching
心臓外科におけるモルヒネ麻酔
Morphine anesthesia for cardiac surgery
藤田 昌雄
1
Masao Fujita
1
1東京女子医科大学麻酔学教室
1Dept. of Anesthesiology, Tokyo Women's Medical College
pp.413-422
発行日 1977年5月15日
Published Date 1977/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203051
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麻酔科領域におけるモルヒネの使用は,従来,術前の前投薬,および術中,術後の鎮痛,鎮静,多幸感をうる目的で,少量(10mg以下)用いられているにすぎなかった。しかし最近になって,Lowensteinら1)は,開心術後の患者の呼吸管理において,モルヒネの副作用の1つである呼吸抑制を逆に利用して患者をレスピレータにのり易く,かつ気管内チューブに耐えやすくする目的でこれを使用し,かつその量を徐々に増していっても,脈拍,血圧に変化がみられなかったことから,まず麻酔薬の補助剤として用いてみると,循環動態にほとんど変化がみられなかった。これは後に,Moffittら2)によって確認されている。そして十分なanalgesiaとamnesiaとがえられたことから,モルヒネ麻酔をsole agentとして,手術を施行することの可能なことが確認され,以後大量(0.5〜3.0mg/kg)のモルヒネが麻酔薬として心臓手術に使用されるようになったのである。
東京女子医大麻酔科において,昭和50年1年間に全心臓手術症例541例中,232例(42.9%)にモルヒネ麻酔を行った(表1)。非開心術では全症例107例中32例(29.9%)で,その内訳を表2に示す。
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