Japanese
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特集 冠不全
冠不全と凝固学
Blood Coagulation in Coronary Artery Disease
青崎 正彦
1
,
広沢 弘七郎
1
Masahiko Aosaki
1
,
Koshichiro Hirosawa
1
1東京女子医科大学付属日本心臓血圧研究所内科
1Division of Cardiology, The Heart Institute Japan, Tokyo Women's Medical College
pp.855-864
発行日 1976年10月15日
Published Date 1976/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202961
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冠不全をきたす疾患の大部分は狭心症,心筋硬塞などの冠状動脈疾患であり,そのほとんどが冠状動脈の硬化性病変を基盤として発症する。したがって冠不全と凝固学についての第一の関心は,冠状動脈硬化症の成立や進展に血液の凝固機序がどれだけ関与しているかであり,また冠状動脈硬化症では実際に血栓を形成しやすい"hy-percoagulable"な状態にあるかということであろう。これまでにも冠状動脈の粥状硬化は壁在血栓の器質化によるとの学説1)をはじめ,狭心症,心筋硬塞などの臨床例において血液凝固能の亢進,線溶能の低下を認めた成績は少なくない2-5)。さらに運動負荷によるストレスが加えられたとき6,7),狭心症発作時8),心筋硬塞急性期9,10)には凝固・線溶系の変化は一層明らかになることも知られている。しかしそのような成績の間にはなお一致のみられないところも多く11),またこの凝固・線溶能に変化をもたらす機序やそれが冠状動脈硬化症の成立・推移とどのように関連しているかなど,いまだ明らかでない点も多い12)。したがって本稿では冠不全と凝固学について,文献上これまで得られた成績および知見の紹介を中心に述べてみたい。
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