呼と循ゼミナール
不整脈の新しい見方(4)—洞房伝導時間
比江嶋 一昌
1
1東京医科歯科大学第1内科
pp.1004
発行日 1975年11月15日
Published Date 1975/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202834
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最近,電気生理学的な臨床研究が,房室伝導系のみならず,洞結節へも向けられてきた。洞結節に関する最近のトピックとしては,洞房伝導時間の測定と洞結節リエントリーの証明があげられる。即ち,前者は第I度洞房ブロックの診断に寄与し,後者は心房性頻拍の機序の解明に役立つものである。
従来,洞房ブロックが臨床的に診断されうるのは,第II度房室ブロック(Wenckebach型とMobitz II型)に相当する第II度洞房ブロックの場合であって,第I度洞房ブロックの心電図的診断は,特殊な場合を除いては,不可能であった。心腔内心電図によっても,洞結節電位の記録法が考案されていない現在,その診断は不可能である。しかるに,最近Biggerら1)2)は,洞調律時,心房に早期興奮を与え,連結期を短縮してゆくさいの休止期(return cycle)の態度から,洞房伝導時間を算出している。つまり,洞サイクルをA1A1,心房の早期興奮をA2,A2のあと最初に出現する洞性P波をA3とすれば,洞房伝導時間=A2A3—A1A1/2という(正常値<0.12sec)。
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