呼と循ゼミナール
心機能の指標
中村 芳郎
1
1慶応義塾大学内科
pp.516
発行日 1974年6月15日
Published Date 1974/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202643
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昨年の日本循環器学会総会で会長要望研究課題として「心機能に関する諸指標の現状」という報告があった。当時筆者もその一部を担当したが,その後の1年間に変ってきた点といえば,一番はっきりしているのがVmaxに対する失望であろう。Vmaxは米国ではすでに昨年,手を出す人がほとんど無くなっていたようであるが,わが国でも長期予後とVmaxの比較など,心筋の状態を反映する指標になりうるならば,臨床的に役立たせたい面の成績も得られることなく消えて行きそうである。その理由は,骨格筋に用いられるtwo-element modelは筋に適用できず,three-element modelにすればVmaxが心筋長によって変化するものであることなど,hetero—metric regulationから切離された心筋の状態を示すものでなかったことがわかったためである1)2)。しかし,force-velocity relationsという表現はあるので,同じ心仕事量,同じ拡張終末期心室容量で,駆出期の長いものと短いものの間に機能の差があると臨床的に考えることが不合理になったわけではない。これはStarr3)がBallistocardiographyに熱中した理由でもある,心機能のある因子の表現がいまだにうまく行なわれていないということにすぎないのである。
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