Japanese
English
綜説
高血圧維持の機序
Mechanism of Hypertension
入内島 十郎
1
Juro Iriuchijima
1
1東京大学医学部第2生理学教室
12nd Dept. of Physiology, Faculty of Med., Univ. of Tokyo
pp.1096-1103
発行日 1973年12月15日
Published Date 1973/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202560
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なぜ高血圧が起こり,なぜ血圧が高く維持されるかについてはまだよく分っていない。血行力学的に見ると血圧は主として心拍出量と総末梢抵抗の関数である。したがって血圧が高いのは心拍出量が増えているか,末梢抵抗が増えているかのどちらかである。このほか血液の粘性が増えても血圧は高くなるが,これも広義には抵抗増加に含めることができる。しかし高血圧の場合,粘性の変化はほとんど問題とならない。
もちろん,心拍出量と末梢抵抗の両方が増えて高血圧を起こしている場合も考えられる。そのような場合はどちらがどの程度に関与しているかを量的に計算することができる。また総末梢抵抗は全身に並列に分布している局所抵抗の総合抵抗であるから,ある総末梢抵抗の増加に際し,どこか特別の血管領域が特に関与しているか否かを検討することも高血圧の原因を追究するために必要である1)。このような高血圧の原因についての分析的態度を保ちつつ本態性高血圧の原因を論じた2, 3の学説を検討し,私見をも交えた展望を試みたい。
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