今月の主題 最近の老人病—臨床とその特異性
みなおされてきた老人の疾患
Sick Sinus Syndrome
上田 慶二
1
1東京都養育院付属病院循環器科
pp.2068-2069
発行日 1973年12月10日
Published Date 1973/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205221
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Sick Sinus Syndromeとは
Sick sinus syndromeなる概念を最初に提唱したのはLown(1967)1)で,心房細動の除細動後に直ちに洞調律に復しえず,種々の心房性調律を呈する症例のmechanlsmの1っとして,洞結節におけるimpulse生成,あるいは洞房伝導の障害を推定した.さらにFerrer(1968)2)が定義を拡大し,1)持続的,かつ著明な洞徐脈,2)短時間,あるいは長時間の洞停止で,異所性心房性ないし,下位中枢(junctional)の補充調律を伴うもの,3)長時間の洞停止に際し,補充調律を伴わず心停止をみるもの,4)慢性心房細動(しばしば徐脈を伴う),5)心房細動除去後に洞調律の出現をみないもの,6)洞房ブロック,の6項目の特徴を挙げ,その1項目以上を呈する症例をsick sinus syndromeと定義した.
Sick sinus syndromeの症例は,最終的に慢性心房細動に落着くまでの経過中に,洞房ブロック,上室性補充収縮,頻脈など一過性の多岐にわたる不整脈を呈することが多いが,なかでも徐脈と頻脈が交互に出現する型の症例(徐脈頻脈症候群)については,Short(1954)の報告3)が最初で,sick sinus syndrorneの一面をとらえたものといえる.
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