臨時増刊特集 日常役立つ診療技術
診断篇
III.循環器系疾患の診断技術
1.心音図
坂本 二哉
1
1東大第2内科
pp.685-689
発行日 1970年5月20日
Published Date 1970/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203115
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心音図は,臨床的にいえば聴診の客観化であり,その両者の関係は,しばしば楽譜と音楽との関係にたとえられる.オーケストラの演奏中は,いつ,どの楽器が,どのような音を発しているかをいちいち分析することは不可能であるが(とりとめのない聴診もこれに同じ),楽譜をみればその解決が可能である(心音図).また,心音図では正確な時相の決定や,短時間の現象を長時間に拡大して観察することもできる.これらはもちろん聴診では不可能なことである.
心音図は1894年,W. Einthovenにより始められたが,臨床的使用に耐えうる心音計は,第2次大戦における電子工学の発展により完成をみたものである.
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