Japanese
English
Bedside Teaching
心アミロイドーシス
Cardiac Amyloidosis
日野原 重明
1
Shigeaki Hinohara
1
1聖路加国際病院内科
1Internal Medicine, St. Luke's Internatinoal Hospital
pp.245-251
発行日 1973年3月15日
Published Date 1973/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202475
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心アミロイドーシスという言葉が日本の内科医にやっと取り上げられ始めたのは,過去2〜3年来のことと思われる。欧米の臨床家の間でも,これが注目され出したのは,わずか10年余り前からである。日本では,胸痛の訴えのない患者に心電図の低電位や胸部誘導(V1—V3)にQの出現を見ると,まず知らない間に経験した古い前中隔の心筋硬塞のあとであろうという診断が普通なされるのであるが,新しい心臓病学を学んでいるアメリカのレジデントは,心アミロイドーシスを必らず鑑別診断にあげるのが常識となっている。アミロイドという物質の本質はまだはっきり解明されていないが,現在は一種の糖蛋白とみなされている。これは早くも1842年にRokita—nskeyによって記載され,Virchow (1855年)によってヨードに対する反応が,殿粉に似るということから,amyloid (starch-like)という名称が与えられている。これはまず,すぐれた病理学者により注目された病気である。
臨床医が今日いう心アミロイドーシスを,いつ発見したかということを調べてみると,それは英国におけるWilks1)で,彼は1856年に早くもThe Guys Hospital Reportの中で,2例の症例を"lardaceous disease"という名称で報告している。これはラード(lard)のような心臓という表現である。
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