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講座
ヘモグロビンおよび赤血球のCOとの反応速度ならびに肺拡散能力の評価
Combination Rate of CO with Hemoglobin and Red Blood Cells and Its Application to the DLCO Evaluation
望月 政司
1
,
福居 勝信
2
Masaji Mochizuki
1
,
Katsunobu Fukui
2
1北海道大学応用電気研究所医学生理部門
2国立札幌病院内科
1Research Institute of Applied Electricity, Hokkaido University
2Internal Medicine, National Sapporo Hospital
pp.1027-1035
発行日 1972年12月15日
Published Date 1972/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202441
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今からおよそ60年程前にBohr1)が初めて提唱した肺拡散能力(diffusing capacity, DL)はここ20年来しばしば肺におけるガス交換の速さを示す指標として用いられるようになっている。この値はO2,あるいはCOガスを吸入して求められているのであるが,COを用いる方法が簡単であるので,臨床的にはこの方法が広く用いられている。DLCOは肺胞気PCOが1mmHgであるとき,1分間に肺から摂取されるCO量(ml)で示される。この値は,元来,肺毛細管壁を通るCOの拡散速度を示すものと考えられ,主として,肺胞膜の面積,およびその厚さにのみ依存すると考えられていた。一方,Rough—ton2)3)はCOとヘモグロビン(Hb)の反応速度を測定し,その速さがそれまで考えられていた程速くないことを見つけ,さらに,それが試料のPO2が上昇するにつれて減少することを確めた。この現象を根拠に彼は赤血球が肺毛細管内を通過する時間の推定も行なった。その結果,安静呼吸時では赤血球の毛細管通過時間,すなわち,赤血球が肺胞気と接触する接触時間が平均で0.73secであると述べている。彼の業績はDLCOを反応速度論的に考察する端緒を与えた点で高く評価されている。その後,この考えはKruhφffer4)の測定したDLCOとPO2の関係に関する研究結果によって強く支持されるに至った。
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