特集 肺機能検査のStandard Technique
肺拡散能力の測定(DLco)
pp.505-510
発行日 1969年6月15日
Published Date 1969/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202036
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Ⅰ.拡散能力の概念
肺におけるガス交換は,肺と外界との空気の交換(換気),肺胞気と肺毛細管血との間のガス交換,肺に対する血液の循環(肺循環)の主に3つの過程によって行なわれる。
肺胞ガスと肺毛細管血とのガス交換は,肺胞毛細管膜を通って,物理的な拡散現象によって行なわれると考えられている。したがって,換気機能,肺循環が正常でも,拡散過程がおかされていれば,anoxemiaが起こり,dyspneaの原因となる。この場合炭酸ガスは,酸素の約20倍の拡散能力を有するため,臨床的には,酸素の拡散が問題となる。このように,拡散は,肺のガス交換において,一つの重要な過程であるため,拡散能力を量的に測定するのは,臨床診断学的にも,また肺生理学的にも大切なことである。
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