Japanese
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綜説
肺胞界面活性物質の最近の話題—特に新生児特発性呼吸障害症候群に関連して
Some Aspects of the Lung Surfactant Study:with Special Reference to Idiopathic Respiratory Distress Syndrome of the Newborn
雉本 忠市
1
Chuichi Kijimoto
1
1慶応義塾大学医学部小児科学教室
1Department of Pediatrics, Keio University School of Medicine
pp.800-807
発行日 1971年10月15日
Published Date 1971/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202309
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はじめに
肺surfactantは肺胞のmechanical stabilityを維持する為に欠かせないものと考えられており,これが不足すると肺胞のcollapseをきたして換気障害が生ずる。出生を境として,肺胞の内容が液体から空気におき換えられると,肺胞内の空気を保留し肺胞をcollapseに陥いらせない為に,肺surfactantが重要な意味を持つようになる。肺surfactantの欠乏はそのまま新生児特発性呼吸障害症候群(idiopathic respiratory distress syn—drome: IRDS)にもつながり,胎児期における肺surfac—tant産生の発達過程と,その出生前後の変化については,種々行なわれている肺surfactantの研究の中でも特に力が入れられている部分である。現在,本症の病態生理の全てについて,まだ解明されてない問題が沢山残っているが,近年この方面に対する肺surfactantの研究成果が矢継早に出されており,本稿では新生児IRDSに関連して,主として胎児期を中心とした肺surfactantの最近の研究の動向を,著者の得ている知識の範囲内で紹介したいと思う。
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