特集 1949年度の回顧と50年の展望
製藥界の回顧
椙山 庸吉
1
1厚生省藥務局製藥課
pp.207-210
発行日 1950年4月15日
Published Date 1950/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200622
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昭和24年の製藥界は一言にしていえば,戰時中,終戰後10ケ年にわたる資材の隘路が油脂類・グリセリン等の隘路資材を残すのみで資材関係の好轉により飛躍的に生産を増加し年間約315億円に達し一應全般的には医藥品の需要を満したと言い得る。輸出は大いに期待されたが中間の政治情勢等により一部の家庭藥を除き期待されていた金額には到底達することが出來なかつた。現在登録されている医藥品の製造業者数は約2,700社であり実際稼動しているものは約1,000社,残りの1,700社は経済事情を含む種々の事情から経営困難になつており殆ど操業していないものと考えられる。24年の総括的な命題とは集中生産による企業の合理化と原價の引下即ち輸出の促進と來るべき輸入に備えての準備である。各社共生産品目の整理による重点生産を行い労務効率の上昇を計り漸く年末には製藥工業界も主要業者は企業として一應の安定性をもつに至り金融難は尚他工業と同樣免れ得ないが,各製造業者はその努力によつてこの難局をのりきつて行くことが可能であると考えられる。品目についてはペニシリン,ヘキシルレゾルシン丸,D.D.T.などその増産は目ざましいものがある。又これ等の新製品の規格が数多く発賣されたとともとの年の牧穫であろう。2,3の重要医藥品についてその生産概況を述べると
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