Japanese
English
特集 心筋梗塞
カテコールアミンと心筋梗塞の発症
Catecholamine as an Initiating Factor of Myocardial Infarction
細田 瑳一
1
,
松本 陽子
1
Saichi Hosoda
1
,
Yoko Matsumoto
1
1東京女子医科大学日本心臓血圧研究所
1Heart Institute, Japan, Tokyo Women's Medical College
pp.15-24
発行日 1971年1月15日
Published Date 1971/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202223
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
心筋梗塞が,大部分は冠動脈硬化による狭窄を基礎として起こることに異論はないが,発症の直接の原因が何んであるかについてはまだ解明されていない。かって一般に考えられた冠動脈の血栓閉塞による虚血という機序は,Friedbergらの心筋梗塞1000例の病理学的検討で,約31%の症例に冠動脈閉塞が認められないと報告され22),さらに急性期心筋梗塞の病理が詳細に研究されるにつれて,冠血栓閉塞は,却って梗塞に続発する場合があると考えられるようになって,必須の機転と考えられなくなってきた5)11)26)。重症疾患を伴うショック等の特殊な状態では,もちろん冠動脈閉塞は必要条件でない。最近はnon-obstructive myocardial infarctionとして冠動脈閉塞を伴わない心筋梗塞を分類する考え方も認められてきている38)。すべての心筋梗塞に共通のただ一つの発症要因が見出される可能性はなく,いくつかの重要な因子が種々の割合に重なって心筋梗塞が発症すると考えるのが自然である。
このような要因の一つとして,以前からcatechol—amine (以下CA)が注目されている。
Copyright © 1971, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.