Japanese
English
講座
呼吸と体温調節
Ventilation as a Thermoregulatory Mechanism
太田 保世
1
Yasuyo Ohta
1
1慶応大学医学部内科学教室
1Department of Internal Medicine, School of Medicine, Keio University
pp.395-401
発行日 1970年5月15日
Published Date 1970/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202142
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はじめに
生体のさまざまな機能およびそれらに伴う現象ないし反応は,目的論的な考え方からすれば,すべて生命の維持と個体の再生という究極の目的のために統一され,その恒常性を保つ方向に調節され反応するものであり,かつ多くの現象は互いに干渉しあって,総合的結果が最も好ましいものであるように作用しあう,あるいはすべきものであるということは原則的には同意されよう。
ここにとりあげた呼吸と体温との問題についても,熱の産生がつまるところ炭水化物や脂肪などの燃焼による化学エネルギーの変換であり,呼吸はそのためのO2を供給する手段であると考えれば,全く一つの現象として理解されうるが,熱の放出は,いくつかの全く物理的現象の組合わせによって行なわれ,ここにはガス交換という呼吸本来の目的とは別に,熱放出という体温調節に関する役割が問題となる。そこで本稿では,異常環境温および異常体温における呼吸の変化が,体温の恒常性機序にどのように関係しているかという点に力点をおき,とくにこの問題と関係の深い,トリやイヌにみられる,panting, Warmehechelnについて多少の解説を加えたい。
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