Japanese
English
綜説
新生児特発性呼吸障害(窮迫)症
Idiopathic Respiratory Distress of the Newborn
門間 和夫
1
Kazuo Momma
1
1東京大学医学部小児科学教室
1Department of Pediatrics, School of Medicine, University of Tokyo
pp.932-939
発行日 1969年11月15日
Published Date 1969/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202084
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はじめに
新生児特発性呼吸障害(窮迫)症(idiopathic respi—ratory distress of the newborn)は,新生児,特に未熟児において肺胞表面活性物質欠如によって生じる肺機能不全であり,新生児,特に未熟児死亡原因中第1位を占めている。本症の本態に関して従来様々の異なる説が述べられてきたが,10年前に本症で肺胞の表面活性の欠如することがわかって以来,本症の本態と病態生理は次第に明らかになりつつある。本症は肺胞表面の硝子膜形成が特徴的であるところから肺硝子膜症(hyaline membrane disease)とも呼ばれるが,生後数時間以内に死亡した本症例では,無気肺が主な所見で硝子膜は未形成であり,生後6時間以上生存した例にのみ肺硝子膜が形成されてくる。
本症の頻度は人種差なく,表1に示す如く出生時体重と密接に関連しており,糖尿病母体より生まれた子供を除くとその発生はほぼ未熟児に限られている。Averyは米国における本症による未熟児死亡数を年間約12,000人と推定しているので1),日本における本症による死亡数もかなりの数に達すると思われる。
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