特集 肺機能検査のStandard Technique
ガスクロマトグラフィー—とくにN2の分析を主として
pp.531-535
発行日 1969年6月15日
Published Date 1969/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202040
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Ⅰ.ガスクロマトグラフィーの原理
ガスクロマトグラフィーの原理を一口でいうと,カラム充慎剤(シリカゲル,モレキュラーシーブ,活性炭)などに対するガスの吸着力の差を利用して,混合ガスを成分要素に分離した上で,適当な感知器で,それぞれの成分要素を定量的に測定する方法である。
カラム充慎剤とガスとは,物理的な吸着現象をおこすが,吸着の強さはガスの種類により異なる。もし細長いチューブ状のカラムに充慎剤をつめ,その中を適当な速さでヘリウム,水素などのガス(これをキャリアー・ガスという)を流しておく。この回路の入口に測定しようとする混合ガス・サンプルを瞬間的に投入したとすると,そのサンプルに含まれる成分ガスは,カラム充填剤と吸着反応をおこしながらキャリアー・ガスに吹きとばされて下流へ流れてゆく。成分ガスのそれぞれの吸着親和性(わかりやすくするためあえてこのような表現をした)が違うとき,吸着親和性の弱いガスは早く下流へ流れ,親和性の強いガスは流れるのがおそくなる。ために入口では一塊となっていた混合ガス・サンプルは,十分な長さのカラムの中をキャリア・ーガスに吹き流されてゆくうちに成分ガスごとに塊となり,次第に分離されてゆく。
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