Japanese
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綜説
血行動態からみた僧帽弁狭窄症の手術適応
A Consideration of Hemodynamics for Operability in Mitral Stenosis
正津 晃
1
Akira Shohtsu
1
1慶応義塾大学医学部外科
1Department of Surgery, School of Medicine, Keio University
pp.1004-1013
発行日 1968年12月15日
Published Date 1968/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201963
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はじめに
1948年Bailey, Harkenが僧帽弁狭窄症の経心房交連切開術に成功してから,20年の歳月が経過した。この間,右心,左心カテーテル法,心血管造影法による病態生理,診断の確立,拡張器を用いた経心室交連切開術,人工心肺による開心術,人工弁の進歩により,僧帽弁膜症をより完全に治そうとする心臓外科医の努力は,次第に実を結びつつある。この時点において,僧帽弁狭窄症の手術適応をどのように考えるか,慶大外科における101例,107回の手術経験(表1),ならびに諸家の報告をもとにして考察したいと思う。
僧帽弁狭窄症の手術適応を考える場合,まず問題になる事項は,1)狭窄のみか,閉鎖不全の合併があるか,2)重症度(New York Heart Association分類),およびその血行動態,3)弁,腱索,乳頭筋の癒合,硬化の程度,血栓の有無,4)その他の弁膜症の合併などの諸点である。そしてこれらの考慮の上に立って,盲目的交連切開のみでよいか,人工心肺をstand byさせるか,人工弁をも用意するか,の方針がきまってくる。以下これらの諸問題について,特に血行動態を中心として検討する。
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